(つつごう よしとも、1991年11月26日 - )は、和歌山県橋本市出身のプロ野球選手(外野手、内野手)。右投左打。横浜DeNAベイスターズ所属。 実家は橋本市内でガソリンスタンドを営んでいた。小学2年の時に和歌山ニューメッツで野球を始めた。 中学では堺ビッグボーイズに所属、4番として
42キロバイト (4,928 語) - 2019年1月27日 (日) 10:25

 DeNA筒香嘉智選手が、25日、都内の日本外国特派員協会で記者会見を行った。議題は「日本の野球界は変わらなければならない」。現役選手で侍ジャパンの4番打者という、影響力の大きい立場での「提言」が国内外100名を超える記者が集まるなかで行われた。

「本日は、僕自身が感じている(日本の)スポーツ界、野球界の現状について『もっと良くなるにはどうしたらいいか』考えてることを話したいと思います」。まっすぐ前を見据え、語り始めた筒香。まず野球人口が少子化のスピードより6~10倍のスピードで減っているという調査結果を示し、子供たちが野球をするにも無理を強いられ、果ては、手術を受け野球を断念する例もあるということに憂慮を示した。

 さらに筒香は、専門家や医師と協力して調査したデータを記者に配布。そこにはU-12日本代表の小中学生と、筒香が、’14年、’15年と2度訪れているドミニカ共和国の子供たちの肘の内側の故障頻度が示されていた。日本の子供たちの67%が故障歴があるのに比べて、ドミニカは18%という数字を示していた。

 筒香はこのデータを「勝利至上主義が原因だ」と言い切った。「どの年代も、選手の将来的な活躍よりも、今の勝利を重視した『勝利至上主義』に問題があるのではないかと思っています。プロ野球リーグ戦で行われていますが、骨格のできあがっていない子供たちの大会はほとんどがトーナメントで行われています。このため、どうしても選手の成長より今の試合に勝つことが優先されています」

甲子園は子供たちのための大会なのか?

 ドミニカには甲子園に値するような大きな大会はなく、トーナメントでの試合もない。子供たちは指導者から野球を楽しむことを優先した指導を受け、ひいてはMLB球団が主催するアカデミーに入り、メジャーリーガーへの夢を紡いでゆく。そこには「美談」にすり替えられる「酷使」はない。昨夏の夏の甲子園金足農業の吉田投手が決勝戦まで一人で投げぬき、それが「高校野球の姿」などと語られたこととも記憶に新しい。

 それゆえ、筒香は自身も名門・横浜高校で経験した「高校野球」についてとりわけ強く言及した。

高校野球は教育の場といわれていますが、高校生甲子園でやっているのは部活動です。昨年も球数の問題が出ましたが、本当に子供たちのためになっているのかという疑問があります」

 さらに「高校野球では部活で大きなお金が動いたり、教育の場といいながら、ドラマのようなものを作ることもある。新聞社が高校野球を主催しているので、(メディアにも)子供たちに良くないと思っている方はいても、高校野球の悪というか、子供たちのためになっていないという思いを(メディアが)なかなか伝え切れていないのが現状だと思います」と高校野球界の矛盾を突いた。

 日本の新聞社の記者が大勢詰めかけるなかでの発言。ややもすれば、今季は横浜でプレーする自身の首をしめかねない発言に記者会見場は静まり返った。(事実、翌日の朝刊で記者会見自体を報じたにせよ、この部分を報じた新聞社はほんの一部で、高校野球を主催する2紙は同日に行われたセンバツ高校野球の組み合わせ抽選の結果に多く紙面を割き、これには言及しなかった)

 また、その後行われた質疑応答では、少年野球のチームを引率したことがあるという女性外国人記者から、「子供と母親」の関係性についての質問があった。「(日本の)母親の間にはスポーツではなく、武道のようではないかという意見がある。夏休みの間ずっと練習に付き合わなくてはならないとか、子供たちと指導者のために100人分の昼ごはんを作らねばならないという話を聞いた。あなたは知っているか?」と母親の視点に立ったものだった。

 筒香自身はシニア時代の出身母体である堺ビックボーイズのスーパーバイザーについており、オフにはそうした母親たちと話す機会があったとして、こう述べた。

「選手のお母さんから聞いた話では、近所のチームに(見学に)行ったら、あまりに(指導が)怖すぎて入部できなかったという声がありました。また、練習が長すぎて、子供たちが遊びに行ったり、勉強する時間がない。また、親もお茶当番などがあるので子供たちと出掛けたり、両親が何かやりたいことが何もできないという声がありました」

 と、少年野球や、高校野球で行われている、父母が指導者や関係者、OBにお茶や菓子、弁当などを用意する「お茶当番」という”苦役”をなかば強制的に押し付けられ、母親の心理的負担が少なくないことを認識していた。実際、堺ビックボーイズでは「お茶当番」を廃止。選手不足に陥るチームが多い中、強制的な練習等を排除し、野球を楽しませる環境をつくることで、70人超の新入部生があり、それは毎年増えていることも併せて示した。

 筒香は指導者側の問題も指摘した。「指導者は勝つことが子供に良かれと思ってやっているが、実は子供たちの負担になっているという現状があります。もちろん僕自身も勝つことを否定しているわけではありません。勝つ喜び、負けて悔しがる思いは必ず必要なことだと思っているが、勝つことが第一に優先されてしまい、子供の未来が潰れているのが現状が起きている。子供が優先されないといけないのに、大人が中心になってやってしまっているのではないか」と疑問を呈した。

 そのなかで、筒香は「子供たちに答えを与えすぎる。そして子供たちができないことに苛立ち、罵声や暴言を発する指導者の姿を実際に多く見た」と前時代的な指導に苦言を呈する一方、サッカーのようなライセンス制については、「少年野球の指導者のほとんどは平日は仕事を持ち、土日に自分の時間を使うボランティアであるから、(ライセンスなど特別な講習に時間を割くのは難しいので)まずはルールを決めて子供たちを守ることが先決ではないか」と慮る発言もあった。

「世間が、時代が急速に変わっているのに、野球界の変化のスピードがあまりにも遅く、時代に取り残されているのではないか」と何度も言っていた筒香。日本球界のトップ選手の勇気ある提言は、日本の野球界、とくにアマチュア球界にどのような変化をもたらすのか。注目したい。

取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)

会見は通訳を挟み、質疑応答は英語と日本語で行われた


(出典 news.nicovideo.jp)

   


<このニュースへのネットの反応>